睡眠障害や頭痛、めまいなどの健康被害を起こす騒音。道路や航空機、工場、建設現場などには環境基準があるが、風車には基準がない。再生可能エネルギーの柱として期待が高い洋上風力発電だが、日本は風車の海岸からの距離が欧米に比べ近く、沿岸住民の健康被害も懸念される。北海道の「有望な区域」の騒音リスクを試算した専門家は騒音被害リスクの軽視に疑問を投げかける。
今年3月、札幌市内で経営者向けの実務講座が開かれた。テーマは「GX(脱炭素化)が創る北海道の価値と明るい未来」。道内企業にとっては大型風車の部品供給や保守業務への参入チャンスが説明されるなか、こんな問いかけがあった。
「日本は海に囲まれているのに、なぜ洋上風力発電の普及がここまで遅れているのか」
「風車建設に適した浅瀬が少…